私、お金持ちになっちゃいました!?
「ねぇ…千秋」
口元を抑えられたままの千秋は
視線だけを俺に向ける
「抱きしめていい?まあ、許可なく抱きしめるけど」
そうやって悪戯っぽく笑って
千秋を思い切り引き寄せて
ありったけの優しさを込めて
抱きしめる
最後…にするから。
これで最後…。
たくさん傷つけてごめん。
幸せ奪ってごめん。
だけど、本当どうしようもなく好き。
千秋は俺への罪悪感か同情か
知らないけど大人しく俺に
抱きしめられてる
好きだけど千秋のそういうとこ
やっぱり嫌いだわ
好きでもないくせに。
あの時みたいに抵抗しろよ
あぁ…また黒い感情が
俺を支配していく。
このまま千秋の側にいたら
きっと俺はもっと千秋に
酷いことをしてしまう
「千秋、おやすみ…また明日」
俺はそう言って千秋から離れた。
明日には結婚式。
俺と千秋の無意味な
誰も幸せになれない結婚式。