私、お金持ちになっちゃいました!?
「どこにも…行くな」
彼のあまりにも悲しげな瞳に
捕らわれ何も言えないままでいると
急にハッとしたように
私の手を離したーーーーー。
「わり…何でもねえ…」
「あ、いや別に…。私はちょっと外の空気吸おうとしただけだから…どこにも行かないよ」
私の口から零れた言葉に
ホッとしたような表情を浮かべる
きっと本人は無意識
何故か私は目の前の彼を安心させたいと
思ってしまったのだーーーーーーーーー
「今日はもうやめとけよ。」
それだけ残して松韻 綺羅は
その場を後にした。
一体、彼はどんな闇を心に
秘めているのだろうか?
何故あんなにも悲しそうな目を
するのだろう?
どうして私はこんなにも
気にしているのだろう?
「仕方ないから行かないであげる」
私以外、誰もいなくなった空間に
私の小さな声が空気となって消えたーーー。