トシノサ恋 〜永久に…君に〜 番外編
③新井 光編
あれは確か…俺が高校一年の秋だった。
その頃の俺は…ひたすら空手に明け暮れるだけの日々だった。
少しでも強く、今日よりも明日…
誰にも負けたくない。
いつか、親父以上になって、必ず認めさせたい。
それ以外の事なんてどうでもよくて、自分の周りにどんな人間がいるかなんて…
考えたこともなくて…
その日も朝練が終わって、体育館の裏庭の前を何も考えずに通った…。
「奥平先生、チューリップの球根を持ってきました…。」
「ありがとう、じゃあ…今日の放課後に美化委員の人を集めてくれるかな?」
「わかりました…でも先生、何で毎年チューリップなんですか?もっと違う花とかにしないんですか?」
「…うーん、そうね…。チューリップの花言葉って、知ってる?」
「えー、知らないですけど…」
「チューリップの花言葉は、”思いやり“なの。
毎年入ってくる新入生がこの花を見て、少しでも嬉しくなったり、今いるあなた達、在校生が優しい気持ちになってくれたらいいなって…そう思っているのよ…。」
「…へぇ、いいですね。」
「アハハ…ありがとう。
皆…後悔のない人生を歩んでほしいな…先生は、そう願うことしかできないから…せめてもの餞の気持ちかな…もちろん、あなたもねっ。」
「…はい」
「…素直でよろしいっ。」
そう言った彼女は優しく笑っていた。
なぜだろうか…
俺はその時、彼女から目が離せなくてしばらく見つめていた。
頭の中が空っぽになって、浮かんだ事は…
ただ、素直にその笑顔が”綺麗だな“と思った…。
その頃の俺は…ひたすら空手に明け暮れるだけの日々だった。
少しでも強く、今日よりも明日…
誰にも負けたくない。
いつか、親父以上になって、必ず認めさせたい。
それ以外の事なんてどうでもよくて、自分の周りにどんな人間がいるかなんて…
考えたこともなくて…
その日も朝練が終わって、体育館の裏庭の前を何も考えずに通った…。
「奥平先生、チューリップの球根を持ってきました…。」
「ありがとう、じゃあ…今日の放課後に美化委員の人を集めてくれるかな?」
「わかりました…でも先生、何で毎年チューリップなんですか?もっと違う花とかにしないんですか?」
「…うーん、そうね…。チューリップの花言葉って、知ってる?」
「えー、知らないですけど…」
「チューリップの花言葉は、”思いやり“なの。
毎年入ってくる新入生がこの花を見て、少しでも嬉しくなったり、今いるあなた達、在校生が優しい気持ちになってくれたらいいなって…そう思っているのよ…。」
「…へぇ、いいですね。」
「アハハ…ありがとう。
皆…後悔のない人生を歩んでほしいな…先生は、そう願うことしかできないから…せめてもの餞の気持ちかな…もちろん、あなたもねっ。」
「…はい」
「…素直でよろしいっ。」
そう言った彼女は優しく笑っていた。
なぜだろうか…
俺はその時、彼女から目が離せなくてしばらく見つめていた。
頭の中が空っぽになって、浮かんだ事は…
ただ、素直にその笑顔が”綺麗だな“と思った…。