あわよくば、このまま


キーンコーンカーンコーン……。




や、やっと終わった……!


4限目の終わり。

チャイムが鳴ると同時に、どっと疲れが襲ってきた。


まだ午後も授業があるのに、今の時点ですでにしんどい。


なんでこんなに疲れているかって?


その原因はもちろん藤、……のことを意識しすぎる私。



朝の挨拶以降、ろくに藤の顔を見ることができていない。


流石に不自然だから、今日はできるだけ藤と関わらないようにしようと思ったくらいだ。


なのにこういう日に限って、やれ隣同士で話し合えだの、やれ互いに小テストの丸つけをしろだの。


隣同士ってこういう時に困る。



できるだけいつも通りを心がけたけれど。


間違えた問題を訂正してくれるその字が整っているところが。

自分の意見を紡ぐその低い声がまっすぐなところが。


全部知っているはずなのに。

あぁ、これが藤なんだなって。

改めて感じてしまって。


いつも通りに接することなんて、とてもじゃないけどできなかった。

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