あわよくば、このまま

「10分くらい自由に話す時間とったから。その間に出る種目考えようってことになったけど」


ダメだったか?



そう聞く藤に、まさか聞いてませんでしたとは言えず顔をぶんぶんと横に振る。


「ダメじゃない! ごめん、ぼーっとしてた」


そう謝れば、ふっと緩い笑みを浮かべる藤。


「ならよかった」


あーーーもう! だからそういうところがさぁ!


自分で決めたはずなのにグラグラと揺れる決意。


心臓は鷲掴みにされたみたいにぎゅうっとなって、先に戻る藤の後ろをトコトコとついていくしかなかった。

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