あわよくば、このまま


「心配もするだろ。だって───」


え?


すっと伸びてくる藤の大きい手。



「ここ、赤くなってるし」



"ここ"と言われて指されたのは、私の額で。


さらりと壊れ物を扱うかのように優しく触れられた額に、私の心臓は一気に爆発寸前まで追い詰められた。


「だ、だいじょうぶだから!!」


ていうか顔近!?


驚いて、思わず逃げるようにぴょんっとひとつ上の段に跳び乗る。



あ……。手、離れちゃった。


自分から離れたくせに、藤との距離が遠くなったことに、少しだけ寂しさを感じてしまって……っていやいやいや寂しいって何!? 意味わかんないから!!

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