あわよくば、このまま
トントンと階段を降りる2つの音が響く。
藤も昇降口掃除だから、向かう場所は同じ。
階段掃除の子たちが来たのか、上からは楽しそうな声が聞こえ始めた。
「なぁ」
もうすぐ階段を降り終わる、そんな時。
ふと、歩いていた足を止めて、藤がこちらを振り向く。
「秋宮は、どう思う?」
「?」
どうって、なにがだろう?
「もし、俺が応援団になったら───」
「かっこいいと思う!!」
つい反射的に返事をしてしまったけど、藤が応援団! 絶対かっこいい!
野球してたから体力はあるし、背だって高いから袴もすごく似合うと思う!
なにより、寺田くんと一緒に応援団やってる姿を見てみたい!