あわよくば、このまま

「まき先輩がリーダーだったので!」
「やだ、すごい可愛いこと言ってくれるじゃん!」


目をキラキラとさせて今度は私に抱きついてきた先輩。


「あはは! 今の近所のおばちゃんみたいです」
「なに〜!?」


横で笑いながらそう言った里帆を巻き込んで、3人でくっつきながらじゃれていると、誰もいなくなったと思っていた教室から別の声が聞こえてきた。



「え、なになに? どういう状況?」


明らかに困惑した声に振り返れば、そこにはふんわりとした雰囲気の可愛い女の人の姿が。


誰だろう? 先輩かな?

そんな私の疑問は、まき先輩によってすぐに解決した。


「千咲〜来るの遅いよー」

「ごめんね〜。もう終わっちゃった?」

「ついさっきね。
あ、里帆、伊織ちゃん。紹介するね!
私と同じクラスで、衣装係の副リーダーの飯村千咲(いいむらちさき)!」

「よろしくね〜」


ふわっと笑った先輩の第一印象は、「すごく優しそう」だった。

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