あわよくば、このまま

そして実際、その印象は間違ってなく。


「あ、すごい! できました!」
「わぁよかった! 上手くできてるね!」


衣装係として活動すること早数日。

千咲先輩には大変お世話になっていた。


「ありがとうございます! あと何回も聞いちゃってすみません……」

「全然いいよ〜。なんでも聞いちゃって!
あ、私にわかる範囲しか教えられないけど」


あははと笑う先輩につられてこっちまで笑顔になってしまう。


「秋宮ちゃん、俺にもどんどん聞いていいよ」

と、そこに割って入ってきたのは有野慎二(ありのしんじ)先輩。


「あれ、慎二先輩また来たんですか?」

里帆が言うように、実は慎二先輩は衣装係じゃないのに気がつけばいつもいるのだ。



「おいおい良いのか〜? そんなこと言って」

「まき先輩に言いつけますよー」

「だからまきに頼まれて助っ人で来てるんだって!」


里帆が先輩をからかうような態度が取れるのも、2人が同じ部活だからみたい。

里帆とまき先輩と慎二先輩はみんな書道部なんだ。

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