あわよくば、このまま

「……ぷっ」

「……まき?」

「あははっ! も〜自分の分も買ってくれば良かったのになにしてんの」

「普通に忘れてた」

「ほんっとバカなんだから」

「……怒ってるか?」

「怒ってないよ」

「じゃあ!」

「それとこれとは別でしょ」


アイスを引っ込めようとした慎二先輩の手から、笑いながらもしっかりとアイスを取り返したまき先輩。


「ひっでー!!」
「もともと私のじゃん。ていうか半分食べてるんだからもう十分でしょ!」
「うぐっ」


しゃくっ。

項垂れる慎二先輩を横目に、まき先輩が食べかけのアイスを口に運ぶ。


「美味しい〜。慎二ありがとね」
「……どういたしまして」
「拗ねてんの?」
「べっつに〜」
「も〜。じゃあ今日の帰り、コンビニ寄ろ!」
「まじ!? よっしゃ、約束な!」

< 60 / 65 >

この作品をシェア

pagetop