輪廻転生ものがたり
そのまま
眠ってしまったらしい。

人々の、泣く声が聞こえる。

「えぇ。よく頑張ったわ。」

周りに家族が囲んでいた。


ご主人は体が弱かったのか、
僕が産まれるのと引き換えに
命を失った。

残りのわずかな力で
僕に乳をくれたのだ。
最後まで僕に優しくしてくれた。

せっかく人間として生まれて
これからあなたのそばで
ずっと
生きられるところだったのに…。




それから幾年が経ち、
僕は成長した。
あなたのいない世界で。

あなたが残したもの。

僕は母の服を着て
母のように振る舞うのだ。
鏡に映る自分を見ている。
いつも。

あのヒトにそっくりにな自分に
僕は恋をしている。
そうだ、僕は
あのひと自身になったんだ。

あのひとがいない。
いや僕は「あのひと」として
残りの人生を全うするんだ…。


それは、
幸せなんだろうか?



ぷ~ん、ぺちっ

「肩に、蚊が止まっていたわよ。」




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