意地悪な副社長との素直な恋の始め方
「好きだ」
「…………」
わたしを見下ろす朔哉の表情は、意地悪でも、冷たくもない。
温かくて優しくて、甘い。
(偉そうに、命令ばっかりして! 首、締めたい! 憎たらしい! でも……)
隠しようがないほどに、自分が赤面しているのを感じた。
「偲月?」
いまさら、だった。
でも、いまなら素直になれる気がした。
「…………、き」
人生で初めての告白は、息も絶え絶えに呟くだけで精一杯だ。
そのお返しに朔哉がくれたのは、
切り撮って永遠に残しておきたくなるほど、嬉しそうな笑顔だった。