意地悪な副社長との素直な恋の始め方
草花に水をやり、枯れた葉を取り、スマホで白い可憐な花の名前を検索する。
イベリス、またはキャンディタフトという名前と共に記載されていた花言葉に、溜息が出た。
心を惹きつける、初恋の思い出、甘い誘惑。
まるで、わたしにとっての朔哉そのものだった。
かわいらしい花の甘い香りを嗅ぎながら何枚か撮影したが、結局集中できずに諦める。
芽依と朔哉、二人に血の繋がりがあるのか、ないのか。
未だに確証を得られずにいた。
朔哉に訊くのが一番早いが、何も知らないかもしれないし、知っていたとしても本当のことを言うとは限らない。
それは芽依や夕城社長にも当てはまる。
誰に訊けばいいのか。誰の言葉を信じていいのか。
わからなくて、結局誰にも訊けずにいた。
(こんな状態のまま、芽依の誕生日が来ちゃうなんて……)
あからさまにわたしへの対抗心をむき出しにしていた芽依が、このまま何もせずに終わるとは思えなかった。
けれど、その場に居合わせない限り、何があったかなんて知りようがない。
だから、わたしは朔哉の言葉と行動を信じるしかない。
信じなくては、いけない。
信じられなければ、自滅する。
そんなことをぼんやりと考えていたが、ふと日焼け止めを塗り忘れていることを思い出した。
(ひーっ! シゲオに怒られるぅ……)
慌ててリビングへ戻ると、すっかり身支度を整えた朔哉がいた。