意地悪な副社長との素直な恋の始め方
長い間思い続けていた相手が目の前にいて、相手も自分を好きだと知って、一度は諦めた想いが叶うとしたら。
――手を伸ばさずにいられるとは、思えなかった。
彼女より優っているものなど何一つ持たない自分が、彼に選ばれるなんて、信じられなかった。
自分を、彼を、幾夜も分かち合った熱を信じ切れなかった。
月子さんが言ったように、自分が輝ける場所で生きて行けば、いつかは自信を持てるのかもしれない。
でもいまのわたしには、自信なんて欠片もなかった。
これから、どうすればいいのか。
どうすべきなのか。
選択肢はそれほど多くないはずなのに、寝不足で鈍った頭は働くのを拒否している。
瀕死のスマホが鈍い音を立てて震え出し、新たなメッセージを受信した。