意地悪な副社長との素直な恋の始め方


「よし。じゃあ、仕事の話は終わり。ここからは、料理を楽しもうぜ!」


話が終わるのを見計らったかのように、最初の料理が運ばれて来た。

キュウリの甘酢漬け、自家製ザーサイなどの前菜だ。

ドリンクは、白酒ではなく紹興酒。
飲みにくいと感じるなら、燗をして砂糖を入れてもいいけれど、本来の味をぜひ楽しんでみてほしいと勧められる。

知り合いとはいえ、男性と二人きりというシチュエーションに、多少なりとも緊張していたが、食べ始めて五分と経たずにリラックスできた。

話し上手な流星は、双子ちゃんがやらかした数々の笑えるエピソード。モデルをしていた頃の業界裏話。中国酒のうんちくと、途切れることなく話題を提供。

わたしに居心地の悪い思いをさせることは一秒たりともなかった。

昨夜のことや朔哉と芽依のことを思い出すきっかけさえなく、目の前の料理とお酒、会話を楽しみ、あっという間に二時間が過ぎた。


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