意地悪な副社長との素直な恋の始め方
――仕事に行かず、一日中、ベッドの中でくっついていたい。
そんなことを思うわたしは、朔哉と同類だ。
けれど、素直に言えるはずもなく、憎まれ口を叩く。
「いつもはちがうって言いたいの?」
「コメントは、差し控えておく」
「ん」
軽く唇を触れ合わせるだけのキスをした朔哉は、「金曜日、楽しみにしている」と言い残して出て行った。
絶好調ではないにしても、落ち込んだ状態からは復活したようだ。
流星に嫉妬して、わたしの不在に動揺する朔哉を見て、嬉しいとは思えなかった。
朔哉には、心にも身体にも、心配事を抱えることなく、幸せでいてほしい。
胸を撫で下ろし、遅ればせながら呟く。
「わたしも……楽しみに、してる」