意地悪な副社長との素直な恋の始め方
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「……月ちゃん?」
「…………」
「偲月ちゃん!」
「えっ!」
「もう、終業時間だけど?」
怪訝な表情をしたサヤちゃんを見上げ、時計を見遣り、事実であることを確認する。
「……あ、うん」
「どうしたの? 今日は、大事なデートでしょ? 急がなくていいの?」
「う、うん」
「がんばって!」
「あ、りがとう……」
更衣室で着替え、メイクを直し、社屋を出たところで合コンへ行くというサヤちゃんと別れ、恐る恐る鞄からスマホを取り出した。
(着信……ゼロ。通知も……ない)