意地悪な副社長との素直な恋の始め方
目の前で閉ざされたドアを、もう一度開けてほしいと頼むことも、自分から開けることもできなかった。
朔哉の傍を離れれば、それですべてが解決するとは思わなかったけれど、わたしが彼を振り回し、傷つけたのは事実だ。
自分は、朔哉と芽依の兄妹以上に見える関係が耐えられないと言っておきながら、朔哉が流星とわたしの関係を不安に思っているのを知っていて、軽率にも二人きりで行動していた。
モデルの仕事の件だって、最初から話しておけば、朔哉を疑心暗鬼にさせることも、傷つけることもなかったのに。
「ご、めん……」
後悔しても、遅い。
あとから説明すれば、すべて言い訳になる。
「ごめん、なさい……」
いくら謝っても朔哉には、届かない。
そうわかっていても、言わずにはいられなかった。