意地悪な副社長との素直な恋の始め方

コウちゃんの助手をしつつ、月子さんのスケジュールと撮りたいシーンをすり合わせて、彼女と会う時間を作る。

その合間に、モデルの仕事に必要な勉強をし、レッスンを受ける目まぐるしい日々だ。

いまのところ、ちゃんと決まっている仕事は『avanzare(アヴァンツァーレ)』の秋冬コレクションの撮影のみだけれど、ド素人のわたしには、やらなければならないことが山ほどあった。

ウォーキングのレッスンに、優雅な立ち居振る舞いを学ぶマナー講座。しなやかな身体を維持するためのヨガクラス。雑誌やショップのディスプレイで流行を研究……等々。

体型を維持し、お肌の手入れに気をつけていればいい、くらいにしか思っていなかった甘い考えを所長の花夜さんに叱られたのだ。


『できないことをできないまま、知らないことを知らないままにしておくなんて、ただの怠慢よ。自信がないなら、克服する努力をしなさい。それでも、どうしても無理だとなって、はじめて、それが自分らしさだと受け入れるべきなの』


ガツンと頭を殴られたように、目が覚めた。

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