意地悪な副社長との素直な恋の始め方
キッチンで準備をしていた流星は、酢飯やネタ、四角く切り揃えた海苔などを載せた大皿を運んで来るなり、紛らわしいことを言う。
「俺と偲月、お似合いだよな?」
「「うん!」」
(お似合いじゃないし!)
「じゃあ、付き合ってもいいよな?」
(じゃあって……じゃあって、なにーっ!?)
「うーん……どうしよう?」
双子たちはお互いの耳に何事かを囁き合い、しばしの密談を繰り広げる。
そんな二人に畳みかけるように、流星は大きな誤解を招く発言を付け加えた。
「あ、ちなみにもう半分付き合っているようなもんだぞ? 一晩一緒に明かしたし、結婚式の予行練習も済んでいるし、あとは本当に結婚するだけで……」
「いやいや、車中泊は一泊とはカウントしないし! あれは撮影で、予行練習じゃないし! 付き合ってなんかな……」
勝手に作られた話を全力で否定しようとして、難しい顔で考え込んでいた双子たちに叱られる。
「「シヅキちゃん、ちょっと黙ってて! いま、一生懸命考えてるんだから!」」
「す、スミマセン……」
(流星さん、なんでそんなこと言い出すのよ!)