意地悪な副社長との素直な恋の始め方


二度と恋などしない――とは思っていないし、結婚したくない――とも思っていない。

ただ、流星に限らず、誰かと恋に落ち、結婚し、家族を築く――そんな未来を想像できなかった。

長い間、わたしの心の中に朔哉が占めていたスペースは、自分で思っていた以上に大きくて、深い。
その巨大な空白を埋められるものは、仕事以外にはないような気がする。

朔哉のように想えるひとは、きっとそう簡単には見つからない。
彼のように、わたしを揺さぶるひとは、永遠に見つからないかもしれない。


(……だとしても、それはそれで受け入れるしかない)


世の中のすべての人が、恋を成就させられるわけじゃない。
たとえ恋が成就したとしても、永遠に続くとは限らない……。


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