意地悪な副社長との素直な恋の始め方
流星と一緒に部屋を出たシゲオがほどなくして戻ったところで、ちょうど眠っていた子どもたちが目を覚ました。
半分眠ったような状態だからか、今日は月子さんのところにお泊りだと伝えると素直に顔を拭い、歯を磨いてくれる。
二つあるゲストルームのうち、月子さんの寝室の隣、セミダブルのベッドへ自分たちでよじ登り、あっさり再び夢の世界へ旅立った。
「じゃあ、わたしは帰るわね」
「ありがとう、ジョージくん」
「こちらこそ、楽しいひと時をありがとうございました。明日の撮影、わたしは行けないんだけど、偲月は?」
「月子さんを撮る予定だから、行くつもり」
「そのあと、打ち合わせがあるのは聞いてるわよね?」
「え? う、うん?」
「撮るのに夢中になって、遅刻しないようにね! すっごく大事な打ち合わせなんだから」
「すっごく大事って、なんで……」
「それじゃあ、おやすみなさ~い」
なぜ、シゲオが午後からの打ち合わせのことを知っているのか。
すごく大事な打ち合わせとは何のことなのか。
問い質す前に、ドアが閉まった。
(ま、いっか。どうせ明日になれば、わかるんだし)