意地悪な副社長との素直な恋の始め方

****


以来、太陽の下で朔哉と「恋人らしく」過ごす計画を立てたことは一度もない。

太陽の下では、見たくないもの、知りたくもない真実が容赦なくさらけ出される。
でも、闇の中でなら、自分の目をごまかし、自分に都合のいいように「見る」ことができる。

ひとの心には、幸せな記憶より、辛い記憶のほうが強く残る。
期待すれば、裏切られる。
裏切られたくなければ、期待しなければいい。

だから、誕生日に約束することをやめた。

だから、夕城の家を出たあとも朔哉との関係が続いていることに、特別な意味を見い出そうとは思わなかった。

だから、セフレ以上のものになろうとするのをやめた、






――はずだった。



< 38 / 557 >

この作品をシェア

pagetop