意地悪な副社長との素直な恋の始め方



「……芽依?」

『いま、とても大事な会議中なの。架け直してくれる? 今夜の約束、少し遅れるってメッセージ送ってるはずだけど』

「え、や、そうじゃなくて、」

『とにかく、デートごときで仕事の邪魔しないで』

「ま、待って、芽依!」


事情を説明する暇もなく、一方的に切られた電話に茫然とする。


「どうした?」

「さ、くやに、繋がらなく、て……」

「は? いま誰としゃべってたんだよ」

「芽依……会議中だって」

「会議? それどころじゃ……」


サイレンの音が止み、エントランスへ下りていた透子さんが救急救命士を引きつれて戻って来たため、それ以上の話はできなかった。

< 400 / 557 >

この作品をシェア

pagetop