意地悪な副社長との素直な恋の始め方
わたしの剣幕に気圧されたのか、朔哉は沈黙したままだ。
「いくら好きでも……上手くいかないのは、そういう運命なんでしょ」
「…………」
「どうやっても上手くいかないなら、諦めも肝心でしょ」
「偲月」
「もう、やめよ?」
「どういう意味だ」
「そのまんまの意味だけど」
「偲月!」
「これ以上、好きになりたくない」
顔を強張らせた朔哉が、一瞬見せた隙を逃がさず、タクシーに乗り込み、自らドアを閉めた。
「出してください」
「おい、」
「でも、お客さん……」
「いいからっ! さっさと出せって言ってんの!」
「は、はいっ!」