意地悪な副社長との素直な恋の始め方


聞こえないはずがなかった。
それなのに、朔哉は足を止めない。


(なんで……なんで、無視するのよっ!)

「おい、偲月っ!」


引き止める流星の手を振り払い、結婚式から逃げ出す花嫁さながらに身廊を駆け抜けて、チャペルを飛び出す。

そのまま勢いに任せて朔哉の背に手を伸ばしかけ、ハッとした。


「偲月ちゃん……」


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