意地悪な副社長との素直な恋の始め方
告白は本人にしてください
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(靴は、ヒール低め。ワンピース……黒だけど透け感あるから、重すぎないよね? メイクもシゲオ監修。アイメイクとリップに注力したメリハリ&プルプルだし……あ、ピアス!)
鏡の前で念入りなチェックを行うこと三十分。
一番最後に着けようと思っていたピアスをいそいそとジュエリーボックスから取り出す。
もちろん、朔哉がくれたものだ。
パンプスの色はピアスと揃え、赤にした。
(よし……っと、んー、やっぱり髪上げた方がすっきりするなぁ……)
髪は、全身のバランスからすると下ろすのではなく、アップの方が良さそうだ。
(ポニーテール禁止とか言ってたけど。朔哉のいないところでするわけじゃないし。……やっちゃお)
この機会に、ポニーテールを許可してもらおう、なんて目論見でもってちょっと低めの位置で束ねる。
いま一度、姿見で完成した姿をチェック。自撮りした写真をシゲオに送信して、『まあまあ、許容範囲ね』とのお墨付きをいただいたのと同時に、透子さんからメールが届いた。
添付ファイルは、例の翻訳を頼んでいた記事だ。
(いますぐ確かめたい……でも、待ち合わせには絶対に遅れたくないし……。電車の中で読もう)
最寄り駅から待ち合わせ場所までは、電車で十五分弱。
透子さんから届いた、例の記事の翻訳を読むには十分な時間がある。
ファイルを開きたくなる衝動を押さえつけ、スマホを鞄に放り込んでマンションを出た。