意地悪な副社長との素直な恋の始め方


そんな当たり前のことに気がついて、本来ならばとっくの昔に――偲月に惹かれていると自覚した時に言うべきだったことを、ようやく芽依に告げた。


いまも、これから先も、芽依とは兄妹以上の関係にはなれない。
芽依を、偲月のようには愛せない。
愛そうとしたけれど、できなかった。

芽依は、家族で、妹。
それ以外の関係になることを自分は望んでいない、と。

芽依は、目を潤ませはしたが泣くことはなく、「ずっと前からわかっていた」と呟いた。

その後、偲月と母に謝罪した芽依は、表面上いつも通りの「家族」で、「妹」に戻った。
その心の内を、本音を、二度と明かすことなく――。


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