意地悪な副社長との素直な恋の始め方


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限りなく恋に近くて、でも恋ではなかった。
望むようには、愛せなかった。

それでも、真綿で包み込むように、大事にしたいと思っていた。
できることなら、ずっと守ってやりたいと思っていた。

兄として。
家族として。

その気持ちには、いまも変わりはなかった。

けれど、自分以上に彼女を大事にし、守りたいと望み、自分が決して与えられないものを彼女に与えてくれる存在がいるのなら、喜んでその役目を譲る。



『おめでとう、芽依』



口に出したつもりはなかったのに、芽依はふわりと微笑んだ。



『ありがとう。お兄ちゃん』



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