意地悪な副社長との素直な恋の始め方
「秘密のオフィスラブ! んー、いいなぁ。オイシイなぁ。ハイスペックすぎるカレシに、カノジョですって名乗り出るのを怖気づいちゃう気持ちもわかるわぁ。偲月ちゃんって、見かけによらず気が弱いところあるもんね」
「…………」
もはや、否定するのも面倒で、聞き流すことにした。
「あの、それで……わたしと副社長、社長が元家族だってことは……」
「うん、内緒ってことね? 誰にも言わないって約束する。縁故採用で、しかも副社長の恋人だなんて知られたら、無事では済まないと思うし」
「あ、ありがとう……それで、あの、実はこのあと入社式に同行することになっていて、引き継ぎは午後からでもいい?」
「そんなの当然よ! 気にしないで、大丈夫だから! ついては……」
持つべきものは、心優しい同期だ、と思ったのも束の間。
サヤちゃんは、わたしの手をガシッと握りしめ、目をキラキラさせて無茶な要求をしてきた。
「副社長のお友だちとの合コン。期待してるからっ!」