恋愛計算は間違える(アルバートとテレーサ)
あの服装や、使用人を置かないのもそのせいか・・・
アルは独り言のように言った。

「修道女なのか・・」
「修道女ではないわ。
先代のブランシュールの愛人の
子どもとして生まれたけど、
正妻の怒りに触れてね。

小さい頃に
修道院につっこまれたという話だけど。
彼女の母親は失踪したらしいわ、
死んだのかも」

ダイアナは次の扉を開けると、
温室になっていて植物園のようだった。
蘭の花がしだれて、芳香を放っていた。

「ブランシュールの家を継ぐ者が
誰もいなくなって、
1年前にテレーサ様が連れて来られて・・・」

ダイアナがいきなり思い出したように

「テレーサ様は体が弱いの。
すぐに貧血や喘息を起こして倒れるから、注意して」

テラスを出ると、
昔は美しい庭だったのだろう・・
今は草木が伸びて荒れている。

「だから生活も考え方も・・
たぶん修道院なのよね。
それしか知らないから」

アルは考え込んだ。


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