恋愛計算は間違える（アルバートとテレーサ）
アルは
食堂でまず、たばこに火をつけ、
コーヒーを入れる準備をした。

支払いは、この間のエメラルドのブローチの代金で何とかなったが・・

この館の領主はなんで金を得ていたのか？
アルの素朴な疑問だった。

まず、この土地の調査だろう。

階段の壁には、ブランシュール家の代々の家長と、その奥方の肖像画が
対になってかかっている。

最後がテレーサの父親だろう。
ブランシュール家の銀灰の髪と群青の瞳・・

特徴的だ。

奥方の肖像画、
テレーサの継母がないことに気が付いた。

ダイアナが部屋から出て来た。
「テレーサ様はどうか？」
アルはコーヒーのカップをダイアナの前においた。

「よく眠っている・・
アル、ちょっと来て？」
ダイアナが、館の３階の奥に歩いて行った。
３階は使用人の部屋になっている。

「ここが
テレーサ様の使っている部屋・・
病気になるのは当然でしょ」

ダイアナは嫌そうに、そう言って木製の小さなドアを開けた。

北向きの小さい部屋。
日はまったく入らない。
ベッドは粗末で、薄い布団。
暖炉がない。とても寒かった。

「冬場なら凍死してもおかしくないでしょ」
壁は十字架がかかっているだけだった。
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