恋愛計算は間違える(アルバートとテレーサ)
「あんまり我慢させすぎると、
うちの店に来ちゃうわよ、って
言ったけど・・」

リエットは勝ち誇ったように、
笑顔を見せた。

かごから
小さな<ニャー>という子猫の
鳴き声がした。

アルは、かごを見て言った。
「今は無理だな・・後で話をつけるぞ」

「お待ちしてるわ」
リエットは、さらに優位に立つ者の貫禄をみせた。

アルはポケットから、ママレードの小瓶を出すと、
リエットの手に押し付けた。

「じゃぁな!」
それから急いでかごを持って、
店内に入って行った。

リエットはその姿を見て、肩をすくめた。

「からかうのも、おもしろいけど・・
ちょっとうらやましいわね」

そしてリエットの視線は、
ママレードの小瓶に向けられた。


<後日談 >
その後、
ブランシュール家は、
ママレードを特産品にして、
昔の栄華を取り戻した。

ママレードのラベルは、
テレーサの書いた字体が、
現在も使われている。

                             おわり





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