王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~
王子はとにかく離れない
琥珀はただ見惚れていた━━━━━

「椿姫」
「んー?」
「お姫様~!」
「何?」
「ねぇねぇ…椿姫」
「………」
「椿姫」
「……何!?」
「椿姫が可愛すぎるから、呼んだだけ」
ソファで読書中の椿姫と、横にぴったりくっついて椿姫を見つめている、琥珀。

「琥珀も、読書でもしたら?
これ、面白いわよ。結構サスペンスチックで…!」
「興味ない」
「そう?
じゃあ…こっちは?少し斬新なお話だけど、発想が面白いわよ」
「いらない」
「じゃあ…」
他の本を選ぼうと、テーブルに手を伸ばす椿姫。
「興味ないよ」

「じゃあ…テレビつけようか?」
「ううん。見ない」
「お散歩する?今日はお天気いいし」
「行かない」
「でも、暇でしょ?」
「ううん。椿姫見てるから、忙しい」
「……え?私を見るのが、忙しいの?」
目をパチパチさせて琥珀を見る、椿姫。

「椿姫、可愛い~!
今のもう一回して?パチパチって!」
「嫌よ!
それに琥珀、変よ!私を見るだけで、忙しいなんて……」
「だって、飽きないんだもん!
俺さぁ…椿姫のことなら、一生…見てられるよ!」
「変な琥珀……」
「椿姫の前だけ、変になる……
好きすぎて、おかしくなる……
でも、好きでしょ?変な俺も」
「うん、そうね……」

「ねぇ……変な俺とキスしよ?
椿姫もおかしくなって?」
少しずつ琥珀の口唇が近づき、重なった。
「ん……琥…珀…」
椿姫は力が入らなくなり、持っていた本がバサッと落ちた。
「椿姫、可愛い…
好きだよ……大好き…!」

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