王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~
「椿姫様が…?」
「いいご主人様ですね?」
「はい、とっても!僕にはもったいない方です!」
「フフ…やっぱ、好きなんですね……椿姫のこと」
小夜がクスクス笑い、上目遣いで二階堂を見た。

「え?いえ…」
「気づいてないのは、椿姫だけですよ。
椿姫ってそうゆうとこ、鈍感なんだよなぁ」
「そうですね…」
「………二階堂さんっていつも椿姫とセットだし、椿姫があまりにも綺麗すぎるからわかりにくいけど、とっても魅力的なんですから、周りにも目を配ったらどうですか?」
「え?」

「自分自身の幸せを考えてもいいんじゃないかな?
椿姫は結婚したんだし、椿姫もそれを願ってますよ」
「それも、椿姫様のお願いですか?」
「そうですよ」
「………僕の幸せは、椿姫様のお傍にいることです」
「………そっか。じゃあ…入る隙はないな…」
「え?」
「二階堂さんも鈍感ですね」
「は?」
「二階堂さんの中心はあくまでも“椿姫”
椿姫の事に関しては、びっくりするくらい鋭くて敏感なのに、それ以外はまるで鈍感。
もう少し、周りを見てください!」
「小夜さん?」
「行きましょう!」
「え?あ、はい」

外に出る、二人。
「今日はありがとうございました。二階堂さん」
「僕こそ、ありがとうございます。ご自宅までお送りします」
「大丈夫ですよ。まだ明るいし!」
「いえ、そんなわけにはいきません」
ゆっくり歩き出す、二人。

「小夜?」
「え?春人?」
「お前、また新しい男?どんだけ面食いなんだよ……!?お前」
「違うわよ」
「コイツ、イケメン見るとすぐどこへでも行くんすよね?あんたも気をつけた方がいいよ!」
二階堂に向き直り、話す春人。

「小夜さんはそんな汚い女じゃありませんよ」
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