王子と姫の狂おしい愛～結婚生活編～

【井高のお世話】

｢椿姫様、今日はよろしくお願いします｣
二階堂が小夜とのデート中。
井高が椿姫のお世話をしていた。

｢こちらこそ。
でも、琥珀について行かなくてよかったの？
私は大丈夫よ｣
｢今日は川下もいないですし、椿姫様お一人にはできません。琥珀様には、旦那様や他の社員もいますし｣
｢井高さんもお休みとればよかったのに｣

ついでに、川下にも休みをとってもらった椿姫。
もちろん、井高にも声をかけたのだが椿姫が一人になるからと、井高が残ったのだ。
ちなみに、琥珀は仕事で遠出をしていて帰ってくるのは夜遅いのだ。

｢お休みをいただいてもする事ないですし、椿姫様のお世話なら喜んでします｣
｢え？井高さん？｣
｢いや、変な意味はありません。
お茶、お入れしますね｣
｢えぇ…ありがとう｣

井高が紅茶を持って再度部屋に戻ると、椿姫は読書をしていた。
窓から入る優しい風に椿姫の髪の毛が揺れている。
甘い匂いが、井高の方に漂ってくる気がした。

｢確かに、琥珀様や二階堂さんが夢中になるのもわかるな……｣
こうして見ていると、ほんとにお姫様のようだ。
あまりにも綺麗で、井高はただただ……見惚れていた。

｢はっくしゅん…！｣
｢椿姫様！？｣
｢今日は涼しいね…｣
｢すぐ、窓閉めますね。
紅茶もすぐお入れしますので、お身体を温めてください！｣
井高の入れた紅茶を、ゆっくり飲む椿姫。
井高は椿姫の肩にカーディガンをかけた。

｢ありがとう！｣
｢いえ…寒くないですか？｣
｢うん、温まってきたわ。
フフ…ほんっとにうちの使用人は、素晴らしい方ばかりだな～！ありがとう！｣
フワッと笑い、井高を見上げる椿姫だった。