王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~
王子のワガママ

【副社長・琥珀】

「おはよう、琥珀」
「んーおはよ~椿姫ぃ好き~」
「フフ…くすぐったいよ~!」
朝、琥珀が目を覚ますと椿姫が見つめていた。

琥珀はいつも椿姫を、まるで宝物のように抱き締めて寝ている。
それを更に抱き締めながら、額や頬にキスで責めた。

「だって、好きなんだもん!」
「もう起きないと……」
「んー仕事行きたくなーい」
「ダメだよ。今日行ったら、お休みでしょ?」
平日は必ずといっていい程、駄々をこねる琥珀。
それを収めるのは、椿姫の仕事のようなものだ。

金曜日ならまだいい。
でも、これが月曜日だともっと大変だ。

「仕事行かない!」
と、ワガママを言って困らせるのだ。
駄々ならまだ可愛いが、こればかりは椿姫も大変な思いをしている。
「琥珀、子どもみたいだよ!」
「ガキ扱いするな!」
「でもそんなこと言う琥珀は、子どもよ!」
「だって、もう離れたくないんだもん!」
「でも、仕事は大事でしょ?琥珀、言ってくれたじゃない?俺が支えるって!」
「うん、そうだよ」
「だったら……ね?」
「うん、わかった!」

とほぼ毎日のように、説得し送り出すのだ。

「フゥー」
「毎日、大変ですね。琥珀様を送り出すのは……」
二階堂が声をかける。
「そうね。もしかして、仕事で何かあるのかな?
行きたくない理由……まだ23歳だもんね。大変だよね、副社長さんのお仕事」
「いや、ただ単に椿姫様と離れたくないってだけだと思いますよ。
あの方が仕事で不安なんてあり得ません!」
「そうかなぁ…あ、ねぇ…お昼位に琥珀のとこに行ってみない?なんか差し入れたら、お仕事また頑張れないかな?」
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