王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~
そしてお昼少し前に、職場前にいる椿姫と二階堂。

「やっぱ、大きな会社ね!」
会社を見上げて言う椿姫。
「ご実家の会社も、かなりですよ?」
「そうね、みんな凄いわね…!
私はお仕事したことないから、わからないけど……」

中に入り、受付に声をかける。
「こんにちは。
私、湯王 琥珀の妻です」
「え?副社長の奥様?
こんにちは!初めまして!
すぐに、お呼びしますね!」
「あ、いえ…お忙しいでしょうから、これを主人に渡していただけ━━━━━」
「椿姫?」
「え?琥珀?」

「椿姫!!」
声の方を振り向くと、外から帰ってきたばかりの琥珀がいた。
「琥珀」
タタタッと駆けてきて、あっという間に抱き締められた。
「どうしたの?もしかして、俺に会いたくなった?」
「うん、あのね…」
腕の中から顔を出した椿姫は、琥珀を見上げた。

「ん?」
「琥珀、お仕事するの辛い?」
「は?」
「琥珀が辛いなら、私が働こうか?」
「どうした?急に…」
「琥珀様、少しこちらに……
椿姫様、少しお待ち下さいね」
二階堂が琥珀に声をかけ、椿姫から少し離れた所に誘導した。そして琥珀に今朝のこと等を話した。
「椿姫様、大丈夫ですか?」
井高が声をかける。
「琥珀、仕事はどう?」
「特には……!元々から器用な方なのでびっくりする程、上手くこなしてますよ」
「そう…まだ23歳なのに、副社長のお仕事してて苦労かけてるよね……」
「椿姫様が心配されるようなこと、全くありませんよ」

「椿姫」
「あ、琥珀」
「今二階堂から聞いたよ。ごめんね…心配かけて…
俺は大丈夫だよ。椿姫と離れたくなくて、ワガママ言ってるだけで仕事は楽しいよ!
特に!年上の幹部連中が、俺に文句言えない姿を見てる時が…(笑)!」

「は?」
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