王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~

【パーティー】

「いい!絶、対、に!
俺から離れるなよ!」
「うん」
「あの中、汚いジジィばっかだから!
椿姫が穢れる!」
「会社の中も穢れるの?
ゲームセンターと同じね」
「そうだよ」
「じゃあ…琥珀も穢れてるの?」
「まぁ…ある意味、ね…?」
「琥珀?」
「じゃあ…触れちゃダメかな?俺……」
「え……?触れてくれないの?」
「だって…」
「じゃあ…私が琥珀に触れる」
そう言って、琥珀の頬や額にキスをした。

「………椿姫…そんな可愛いことされたら、止まらないよ?」
「うん、いいよ。
琥珀は綺麗よ…!
だから……そんな風に言わないで?」
「うん…ありがと……」
椿姫を抱き締めた、琥珀。
ニヤリと笑う。

ほらっ、こうやってまた椿姫は琥珀から離れられない。
琥珀は常に、椿姫を思い通りに動かす事を考えている。
時々こうやって退いて、椿姫を逃げられないように囲うのだ。

会場に着くと、一気に注目を浴びる二人。
「やっぱ、綺麗だなぁ。奥様」
「奥様っていうより、お姫様だよなぁ…!」
「でもさ、話しかけられないんだよなぁ」
「副社長だろ?」
「番犬みたいに、くっついてるもんなぁ」

琥珀と琢巳が、仕事の挨拶の為に席を外す。
「椿姫、すぐ戻ってくるからね!」
「うん」
椿姫の頭を撫でながら、微笑む琥珀。
そして、二階堂に鋭い目で向き直った。
「二階堂、椿姫から離れるなよ!!絶対に!!」
「もちろんです」

琥珀が琢巳と共に挨拶に向かい、チラッと椿姫の方を見ると、社員達に囲まれて椿姫が見えなくなっていた。
「チッ…!」
「琥珀、二階堂に任せてあるからいいだろ?こっちに集中しろ!?」
琢巳に諭された。
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