王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~
「一緒に帰ろ?」
「ううん。
“一人で”帰る」
「椿姫、それはダメ!」
「椿姫様!危ないです!」
「そうですよ。一緒に帰りましょう!」
「椿姫を一人になんてさせられない!」

「私は、大丈夫…!」
「………じゃないだろ…!?
そんな泣きそうな顔で、大丈夫なんて………」

「もう…ほっといて!!」
「ほっとけねぇよ!」
「帰る。一人で!!」
スッと立ち上がった椿姫は、琥珀と反対側に歩き出した。
「椿姫(様)!!」
「来ないで!!!」
「椿姫」
「来ないで!」
「そっちは屋敷の方向じゃないよ!」
「………」
ピタッと足が止まる、椿姫。
「椿姫様?」
「……さ、散歩して帰るの!」
そしてまた、歩き出した。

「じゃあ、ついてく~!」
「一人にして!」
「いいじゃん~!」
「………」
「椿~姫!」
「………」
「椿姫様」
「……っつ…!」
「椿姫?」
「椿姫様?」
突然…その場にしゃがみこむ、椿姫。

「椿姫!?どうしたの?
足、痛いの?」
「何もない!」
椿姫の元に駆けつけ、顔を覗き込む琥珀。
「だったら、見せて?足」
「やだ!」
「てか、見るけど…!」
「え?ちょっ……」
琥珀は椿姫を抱き上げ、
「ねぇ、ここに車回して」
と二階堂と井高に言った。

「下ろして、琥珀」
「うーん、もう…ゲームオーバーだよ!
椿姫を一人になんてさせないよ!」

井高の運転する車に乗り込んだ、琥珀と椿姫。
「やっぱ、足真っ赤だ!
かなり無理したね……」
琥珀が優しく足を持ち上げ、真っ赤になっているところをさすった。

「………っつ…」
「椿姫、痛い?泣かないで?」
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