王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~
「椿姫様、ハンカチです」
助手席から二階堂が、椿姫に渡す。
それを琥珀が受け取り、椿姫の目元を拭った。
「大丈夫だよ!帰ったら、すぐ手当てしようね」
琥珀に頭を撫でられ、涙は更に溢れていた。
「………」
屋敷に着いて、二階堂がドアを開ける。
琥珀が先に降りて、椿姫に手を差しのべた。
「椿姫、おいで?
足怪我してるから、抱っこしてあげる!」
「………」
「椿姫?」
「一人で降りるから、そこ退いて」
「ダ~メ!」
「じゃあ、いい!」
そう言って、椿姫は反対側のドアから自分で開け降りた。
裸足の足に地面の冷たさが、染みるような気がした。
「椿姫!?」
そのまま裸足で、スタスタと歩いていく。
椿姫は子どもじみた事をしているとわかっていた。
でも、止まらなかった。
“一人じゃ何もできない”という言葉は、椿姫に大きな傷をおわせていた。
屋敷に入ると、川下が出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、椿姫さ……
どうされたんですか!?早く、手当てしないと…!?」
「大丈夫。自分でするから」
そう言いながら、川下の横を通りすぎていった。
「え?ご自分で……?」
川下はびっくりして、椿姫の後ろ姿を見つめた。
「椿姫!?」
「椿姫様!?」
「どうされたんですか!?」
川下は井高から状況を聞く。
「つまり、その方が椿姫様に嫉妬したんですね。
また、自棄を起こさないといいですが……」
「は?」
「あの時の椿姫様と同じ目をしてました」
あの時━━━━━━
椿姫がベランダから、飛び降りた時だ。
全てに絶望した、椿姫。
飛び降りることで、琥珀への愛情を証明しようとしたのだ。
助手席から二階堂が、椿姫に渡す。
それを琥珀が受け取り、椿姫の目元を拭った。
「大丈夫だよ!帰ったら、すぐ手当てしようね」
琥珀に頭を撫でられ、涙は更に溢れていた。
「………」
屋敷に着いて、二階堂がドアを開ける。
琥珀が先に降りて、椿姫に手を差しのべた。
「椿姫、おいで?
足怪我してるから、抱っこしてあげる!」
「………」
「椿姫?」
「一人で降りるから、そこ退いて」
「ダ~メ!」
「じゃあ、いい!」
そう言って、椿姫は反対側のドアから自分で開け降りた。
裸足の足に地面の冷たさが、染みるような気がした。
「椿姫!?」
そのまま裸足で、スタスタと歩いていく。
椿姫は子どもじみた事をしているとわかっていた。
でも、止まらなかった。
“一人じゃ何もできない”という言葉は、椿姫に大きな傷をおわせていた。
屋敷に入ると、川下が出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、椿姫さ……
どうされたんですか!?早く、手当てしないと…!?」
「大丈夫。自分でするから」
そう言いながら、川下の横を通りすぎていった。
「え?ご自分で……?」
川下はびっくりして、椿姫の後ろ姿を見つめた。
「椿姫!?」
「椿姫様!?」
「どうされたんですか!?」
川下は井高から状況を聞く。
「つまり、その方が椿姫様に嫉妬したんですね。
また、自棄を起こさないといいですが……」
「は?」
「あの時の椿姫様と同じ目をしてました」
あの時━━━━━━
椿姫がベランダから、飛び降りた時だ。
全てに絶望した、椿姫。
飛び降りることで、琥珀への愛情を証明しようとしたのだ。