王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~
「お前…椿姫から離れろ……」
「え…?コイツ等……あ、小夜の彼氏……!」
春人はあまりの琥珀達四人の恐ろしさに、ビクッとして二階堂を見て呟いた。

「琥珀…!」
「椿姫、おいで?」
椿姫は琥珀の元へ駆け出した。
琥珀の腕の中に収まった。

「ごめんね、電話出れなくて……」
「ううん、もう怒ってない?」
「最初から怒ってないよ!もう大丈夫だからね!
椿姫、ちょっと待っててくれる?」
「え?」
「うーん。コイツ等に教えとかないといけないなって!椿姫は誰のモノで、どれ程高貴な人間かを……」

「小夜さん、椿姫様を連れてここを離れて下さい」
「二階堂さん?」
「このすぐ横の車で、椿姫様と一緒に待ってていただけますか?」
「あ、はい!」
井高の言葉に小夜が頷き、椿姫を手を引いた。

「え?みんな、どうするの?帰ろ?」
「椿姫、すぐ行くよ!待ってて!」
寛二が椿姫の頭を撫でた。

「ほら、椿姫!」
椿姫は小夜に手を引っ張られながら、後ろを振り向いた。

「お前…今度傷つけたら、どうなるか言ったよな!?
まさか、俺の顔忘れた?」
これは二階堂の言葉。
椿姫は思わず、立ち止まった。

二階堂のこんな言葉づかいや、自身のことを“俺”と言うのを聞いたことがない。
二階堂が椿姫につかえて10年経つが、その間一度もだ。
「椿姫様、震えてたな……しかも、いい度胸してるな、お前。
お前レベルが気安く椿姫様に触れるなんて……」
井高のこんな言葉遣いも。
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