王子と姫の狂おしい愛~結婚生活編~
生まれた時から、将来が決められていた琥珀。
琢巳からかなりのプレッシャーや圧力をかけられていた、琥珀。
その息苦しさから、暴走族のチームの仲間に息抜きを求めていた琥珀。
梨沙子を早くに亡くし、愛情に飢えていた琥珀。

そして椿姫に、癒しを求めていた。

琥珀の言う通り、琥珀はいつも椿姫の名前ばかり呼んでいた。
“椿姫”という言葉しか話せないのかと琢巳に笑われる程に。
椿姫はずっと、そんな琥珀を幸せにしたいと思っていた。

【どうせ鳥籠の中の鳥なら、俺の鳥籠に来てよ!】
とプロポーズされた時に琥珀が言っていた。
【大丈夫。俺の鳥籠は鍵がかかってないから、いつでも出入りできるよ!
あっ、でも、ちゃんと帰ってきてよ(笑)!
そのまま帰ってこないのはダメ!!】
と笑っていた。

椿姫は琥珀が笑ってくれるなら、幸せになるなら何でもしてあげたいと思っている。
お互いに“特別”だと言われて生きてきた、二人。
特別な琥珀に特別な自分が癒しになるというなら、傍にいたいと━━━━━━

「琥…珀……」
「ん?まだだよ?意識…保ってて……」
「琥珀の、こ…と大好…きなの……」
「うん…俺は…椿姫を、愛してるよ……」
「だから…瑠樹く、んの……気持ち…には、答えら…れない……」
「え……」
椿姫は意識が朦朧としながら、必死に言葉を繋いでいた。
「琥珀を…選んだ、のは…私……」
「椿姫……」
そこで椿姫は意識を飛ばした。

「ごめんね…椿姫……ごめんね…」
ぐったりして眠っている椿姫を、いつものように抱き締め頭を撫でている琥珀。

「俺はただ、椿姫のことが大好きなだけなんだ」
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