おデブだった幼馴染に再会したら、イケメンになっちゃってた件
勘定を終えて、店を出る。
「あっちぃぃぃ」
夏の日差しが、私たちを突き刺す。この暑さの中、会社に戻るのを思うと、げっそりする。
「あー、本城と神崎は、お盆休み、どうすんの?」
「私は実家に帰ります。って、めっちゃ近いけど。」
「んー、私も実家行くけど日帰りできるから、すぐに戻ってくる。」
「そうか。俺は九州帰ってるんで。何かあったらよろしく」
「まぁ、大丈夫じゃない?」
お盆休みの話しながら、会社へ戻る道すがら、誰かに見られてる気がして、振り返って周りを見回した。
……気のせい?
「神崎、置いてくぞ~」
「あ、は~い」
まだ、見られている気がしたが、そのまま会社のビルに駆け込んだ。
そして、その日の夜。
残業もほとんどせずに、家に帰れたので、久しぶりにちゃんと自炊しようと、帰り道にあるスーパーへ向かう。
今日は何にしようか、と野菜売り場から見て歩く。色鮮やかな野菜や果物たちを見てるだけで、ニヤニヤしてくる。
「……何、笑ってるんです。」
「ひゃっ!!?」
いきなり背後から、誰かに耳元に囁かれた。
「だ、誰っ!?」
振り返ってみれば、グレーのパーカーにキャップをかぶった遼ちゃんがいて、力が抜ける。
「な、なんでいんの?」
「いちゃいけない?」
「い、いや、そんなことはないけど」
「僕も買い物」
「ふ、ふーん。」
「で?」
「何が?」
「何買うんです?」
「ま、まだ考え中」
「僕、お腹空いてるんです」
「……」
「ご飯、よんでくれません?」
にーっこりと天使の笑顔。
うっ、この笑顔に抗うことなんてできるわけない。
「いいけど、簡単なものしか作れないよ?」
私の言葉に、なんでそんなに嬉しそうな顔するの。
「さぁ、早く、買い物しましょう!」
私のカゴを取り上げて、私の後をついて歩く遼ちゃんが、とっても楽しそうだった。
結局、エコバックがいっぱいになるくらいの買い物をしてしまった。
これ全部、処理しきれるんだろうか、という心配をよそに、遼ちゃんはそれを軽々と持って歩いている。
「ねぇ」
「はい?」
「お仕事は?」
「今日は午後からオフにしてもらったんです。」
「今、なんか撮影やってるんじゃないの?」
「ん~、今日は僕のでるシーンないですから」
「でも、他も忙しいんじゃないの。」
「忙しいですよ~」
「だったら」
遼ちゃんが急に振り向いて、目の前で止まった。
あまりに目の前すぎて、激突しそうになる。
「うわっ」
「キャッ」
片手で抱き留めてくれた遼ちゃんに、今さら、『大人の男』を意識して、顔が真っ赤になってしまう。
「オフなんだから、いいでしょ?」
耳元で囁くように言わないでくださいっ!
は、恥ずかしすぎて、慌ててマンションのエントランスに飛び込んでしまった。
そして、私の部屋のドアの前。
「ちょっと、部屋、片づけるから、待ってて。」
「えー、僕だったら気にしないけど」
「いや、私が気にする。」
「一緒に片付けようか?」
だから、困るんだって。
「じ、自分の部屋行って。片付いたら、L〇NEするからっ。」
「ふーん。」
拗ねた顔もかわいい、というか、そんな顔して罪作りだなぁ、と思いつつ。
ここは、私のプライドの問題。ちっぽけな、ちっぽけなプライドだけど。
「じゃあ、ちゃんと呼んでくださいね。」
そう言って、入った部屋が、まさかのエレベーター挟んで二つ先。
そ、そんな近くの部屋だったの!?
「早く片付けてくださいね~」
バイバイと手を振り入っていく遼ちゃん。
呆然としつつも、『部屋を片付ける』ミッションを思い出して、さっさと部屋に入った。
あーあ。案の定、やばいです。
部屋の中は、この暑さでもわっとしてるし、しばらく忙しかったから、いろんなものが放置状態。
ため息しかでません。が、遼ちゃんが待ってる。
とりあえず、いったん窓を開けて換気してみるけど、外と大して変わらない。
目につくところだけ片づけて、窓を閉めて、エアコンをオン。顔にひんやりした風が当たって涼しい。
……このまま、遼ちゃん放置してしまっちゃダメかなぁ、と思ったのであった。
「あっちぃぃぃ」
夏の日差しが、私たちを突き刺す。この暑さの中、会社に戻るのを思うと、げっそりする。
「あー、本城と神崎は、お盆休み、どうすんの?」
「私は実家に帰ります。って、めっちゃ近いけど。」
「んー、私も実家行くけど日帰りできるから、すぐに戻ってくる。」
「そうか。俺は九州帰ってるんで。何かあったらよろしく」
「まぁ、大丈夫じゃない?」
お盆休みの話しながら、会社へ戻る道すがら、誰かに見られてる気がして、振り返って周りを見回した。
……気のせい?
「神崎、置いてくぞ~」
「あ、は~い」
まだ、見られている気がしたが、そのまま会社のビルに駆け込んだ。
そして、その日の夜。
残業もほとんどせずに、家に帰れたので、久しぶりにちゃんと自炊しようと、帰り道にあるスーパーへ向かう。
今日は何にしようか、と野菜売り場から見て歩く。色鮮やかな野菜や果物たちを見てるだけで、ニヤニヤしてくる。
「……何、笑ってるんです。」
「ひゃっ!!?」
いきなり背後から、誰かに耳元に囁かれた。
「だ、誰っ!?」
振り返ってみれば、グレーのパーカーにキャップをかぶった遼ちゃんがいて、力が抜ける。
「な、なんでいんの?」
「いちゃいけない?」
「い、いや、そんなことはないけど」
「僕も買い物」
「ふ、ふーん。」
「で?」
「何が?」
「何買うんです?」
「ま、まだ考え中」
「僕、お腹空いてるんです」
「……」
「ご飯、よんでくれません?」
にーっこりと天使の笑顔。
うっ、この笑顔に抗うことなんてできるわけない。
「いいけど、簡単なものしか作れないよ?」
私の言葉に、なんでそんなに嬉しそうな顔するの。
「さぁ、早く、買い物しましょう!」
私のカゴを取り上げて、私の後をついて歩く遼ちゃんが、とっても楽しそうだった。
結局、エコバックがいっぱいになるくらいの買い物をしてしまった。
これ全部、処理しきれるんだろうか、という心配をよそに、遼ちゃんはそれを軽々と持って歩いている。
「ねぇ」
「はい?」
「お仕事は?」
「今日は午後からオフにしてもらったんです。」
「今、なんか撮影やってるんじゃないの?」
「ん~、今日は僕のでるシーンないですから」
「でも、他も忙しいんじゃないの。」
「忙しいですよ~」
「だったら」
遼ちゃんが急に振り向いて、目の前で止まった。
あまりに目の前すぎて、激突しそうになる。
「うわっ」
「キャッ」
片手で抱き留めてくれた遼ちゃんに、今さら、『大人の男』を意識して、顔が真っ赤になってしまう。
「オフなんだから、いいでしょ?」
耳元で囁くように言わないでくださいっ!
は、恥ずかしすぎて、慌ててマンションのエントランスに飛び込んでしまった。
そして、私の部屋のドアの前。
「ちょっと、部屋、片づけるから、待ってて。」
「えー、僕だったら気にしないけど」
「いや、私が気にする。」
「一緒に片付けようか?」
だから、困るんだって。
「じ、自分の部屋行って。片付いたら、L〇NEするからっ。」
「ふーん。」
拗ねた顔もかわいい、というか、そんな顔して罪作りだなぁ、と思いつつ。
ここは、私のプライドの問題。ちっぽけな、ちっぽけなプライドだけど。
「じゃあ、ちゃんと呼んでくださいね。」
そう言って、入った部屋が、まさかのエレベーター挟んで二つ先。
そ、そんな近くの部屋だったの!?
「早く片付けてくださいね~」
バイバイと手を振り入っていく遼ちゃん。
呆然としつつも、『部屋を片付ける』ミッションを思い出して、さっさと部屋に入った。
あーあ。案の定、やばいです。
部屋の中は、この暑さでもわっとしてるし、しばらく忙しかったから、いろんなものが放置状態。
ため息しかでません。が、遼ちゃんが待ってる。
とりあえず、いったん窓を開けて換気してみるけど、外と大して変わらない。
目につくところだけ片づけて、窓を閉めて、エアコンをオン。顔にひんやりした風が当たって涼しい。
……このまま、遼ちゃん放置してしまっちゃダメかなぁ、と思ったのであった。