おデブだった幼馴染に再会したら、イケメンになっちゃってた件
第7章 スキャンダルに悩む私と人気俳優の彼
お正月休みの短くて甘い時間は、少しだけ、私に自信をくれた。ほんの少しだけど。
仕事が始まり、忙しく動き回ることで、再び、あれは夢だったんじゃないかって思う瞬間もあるけれど、遼ちゃんが、以前よりも頻繁にL〇NEでの連絡が増えてきたことと、短い時間でも、電話をくれるようになったことが、私の不安の塊を、溶かしてくれている気がする。
バレンタインデーが近くなった頃。遼ちゃんはドラマの撮影が始まった。今回は刑事ドラマらしくて、ちょっと安心。やっぱり恋愛ドラマは、心が痛い。
でも、そんなある日の昼休み。珍しいことに、寺沢さんからスマホに連絡があった。というか、初めてか。
「どういったご用件で?」
『明日発売の週刊誌に、遼くんのスキャンダル記事が出ます』
淡々とした口調で、心臓に悪いことを言う。
「!?」
『でも、それは事実無根ですので』
「え、えっと」
『本当は遼くんから連絡させたいところなんですが、撮影が押してまして』
「それって、どういう類《たぐい》の記事なんですか?」
『まぁ、女性関係ですね』
予想はしてたけど、結構ショックで言葉が出ない。
『年末から年始にかけて、こじれかけたでしょう?』
さすが寺沢さん。よくご存じで。
『あの時期、ちょっと遼くん、ひどかったんで』
「そうだったんですか?」
『ええ。やっぱり彼もまだ若い……』
「え? どういう意味ですか?」
『うまく感情をコントロールできなかったというか。まぁ、あなたのことだったから、かもしれませんけどね。フフ』
寺沢さんの大人の余裕なのか、たんなる腹黒オーラなのか。
『とりあえず、あの大晦日の時の写真が使われます。その覚悟だけ』
「遼ちゃんから、連絡ってもらえそうですか?」
『ちょっと厳しいかと……』
「いつでも、いいんです。お願いします」
『伝えてはおきますけどね』
あの件は、もう、遼ちゃんから違うって聞いている。でも、記事とかになっちゃったりしたら、その信じる気持ちが揺らがないか心配で。信じるための杭を打ち込んでほしい。スマホを強く握りしめる。
午後からの仕事は、案の定、めちゃくちゃで、こんなに自分って、メンタル弱かったのか、と、情けなくなる。
「なんか、あったのか?」
心配そうに聞いてくる笠原さん。相談できるものなら、してしまいたい、けど、私が芸能人とつきあってるなんてこと自体、信じてもらえないだろうし。スキャンダル記事のことなんか、言えないし。
そもそも。そんなこと相談すること自体、遼ちゃんを信じてないみたいで、嫌だ。
「ちょっと、寝不足で」
苦笑いだけしてパソコンに向かう。
寺沢さんの電話があってから、遼ちゃんから、何らかの連絡がこないかと、いつもならバックに入れっぱなしのスマホと、デスクに置いておく。仕事の合間、合間に、ついスマホを見てしまい、作業がなかなか進まない。結局。残業になる。
「女子がいる時間じゃないぞ」
笠原さんと本城さんに言われ(『本城さんは?』と聞いたら、『女子じゃない』と大真面目に言う笠原さん。当然、拳骨が飛んできたのは言うまでもない。)、しぶしぶ帰ることになる。
仕事が始まり、忙しく動き回ることで、再び、あれは夢だったんじゃないかって思う瞬間もあるけれど、遼ちゃんが、以前よりも頻繁にL〇NEでの連絡が増えてきたことと、短い時間でも、電話をくれるようになったことが、私の不安の塊を、溶かしてくれている気がする。
バレンタインデーが近くなった頃。遼ちゃんはドラマの撮影が始まった。今回は刑事ドラマらしくて、ちょっと安心。やっぱり恋愛ドラマは、心が痛い。
でも、そんなある日の昼休み。珍しいことに、寺沢さんからスマホに連絡があった。というか、初めてか。
「どういったご用件で?」
『明日発売の週刊誌に、遼くんのスキャンダル記事が出ます』
淡々とした口調で、心臓に悪いことを言う。
「!?」
『でも、それは事実無根ですので』
「え、えっと」
『本当は遼くんから連絡させたいところなんですが、撮影が押してまして』
「それって、どういう類《たぐい》の記事なんですか?」
『まぁ、女性関係ですね』
予想はしてたけど、結構ショックで言葉が出ない。
『年末から年始にかけて、こじれかけたでしょう?』
さすが寺沢さん。よくご存じで。
『あの時期、ちょっと遼くん、ひどかったんで』
「そうだったんですか?」
『ええ。やっぱり彼もまだ若い……』
「え? どういう意味ですか?」
『うまく感情をコントロールできなかったというか。まぁ、あなたのことだったから、かもしれませんけどね。フフ』
寺沢さんの大人の余裕なのか、たんなる腹黒オーラなのか。
『とりあえず、あの大晦日の時の写真が使われます。その覚悟だけ』
「遼ちゃんから、連絡ってもらえそうですか?」
『ちょっと厳しいかと……』
「いつでも、いいんです。お願いします」
『伝えてはおきますけどね』
あの件は、もう、遼ちゃんから違うって聞いている。でも、記事とかになっちゃったりしたら、その信じる気持ちが揺らがないか心配で。信じるための杭を打ち込んでほしい。スマホを強く握りしめる。
午後からの仕事は、案の定、めちゃくちゃで、こんなに自分って、メンタル弱かったのか、と、情けなくなる。
「なんか、あったのか?」
心配そうに聞いてくる笠原さん。相談できるものなら、してしまいたい、けど、私が芸能人とつきあってるなんてこと自体、信じてもらえないだろうし。スキャンダル記事のことなんか、言えないし。
そもそも。そんなこと相談すること自体、遼ちゃんを信じてないみたいで、嫌だ。
「ちょっと、寝不足で」
苦笑いだけしてパソコンに向かう。
寺沢さんの電話があってから、遼ちゃんから、何らかの連絡がこないかと、いつもならバックに入れっぱなしのスマホと、デスクに置いておく。仕事の合間、合間に、ついスマホを見てしまい、作業がなかなか進まない。結局。残業になる。
「女子がいる時間じゃないぞ」
笠原さんと本城さんに言われ(『本城さんは?』と聞いたら、『女子じゃない』と大真面目に言う笠原さん。当然、拳骨が飛んできたのは言うまでもない。)、しぶしぶ帰ることになる。