おデブだった幼馴染に再会したら、イケメンになっちゃってた件
温もりを噛みしめながら、腕の中で目を閉じる。
「美輪、チョコ食べちゃおうよ」
遼ちゃんの言葉で、二人の時間がゆっくり動き始める。
「今日はどうしたの?」
「ん、パワー充電しにきた」
「……大丈夫?」
見上げると、空《くう》を見つめる遼ちゃん。少し、疲れてるのか、目の下に薄っすらクマがあるように見える。
「あんまり大丈夫じゃない、って言ったらどうする?」
「どうしてほしい?」
「……ふふ。そんなこと言ったら、いろんなこと考えちゃうじゃない」
さっきまでの優しい笑顔が、いたずらっ子にかわる。なんとなく、求められそうなことが頭をよぎって、首から上が急に熱くなる。
「ククク。美輪、何考えてんの……エッチだなぁ」
上から目線でにやけてるのを見ると、なんか悔しい。
「フフ。ちょっと、今の現場、すごい先輩たちが多くてね。緊張するんだ。いい緊張なんだけどね。」
部屋の中がコーヒーの香りで充満する。私は、遼ちゃんの腕の中から出ると、マグカップを取り出し、出来立てのコーヒーをいれる。
差し出したマグカップを受け取り、覗き込む遼ちゃんの顔は、すごく男っぽく見える。テーブルのチョコを一つつまみ、味わいながら食べる姿に、嬉しくなる。
「僕も、いつか、あんな存在感のある役者になりたいなって。すごく尊敬する先輩たちなんだよ」
「いい先輩たちなんだね」
「ああ。もっと勉強しなくちゃいけないって思うよ」
「遼ちゃんは、これからだよ」
「うん……ありがとう」
苦笑いしている遼ちゃん。
「もしかして、焦ってる?」
「あは。美輪には隠せないか」
「なんとなく、ね」
コーヒーを飲み干して、大きいため息。何かあったのかな。
「私が言うことじゃないかもだけど。今は、今の年齢でしかできないことがあるんだから、それを頑張るしかないんじゃない?」
遼ちゃんはマグカップを置くと、同じように私の手からマグカップを取り上げた。そして私の手をとり、ゆっくりと口元にもっていく。一連の流れが、きれいで目が離せなくなる。
「美輪、僕のこと、好き?」
「うん」
「クスっ。今日は素直だね」
手の甲に軽くキス。まるで王子様だな。
「遼ちゃんが素直だから」
そう真面目に答えたら、何か苦しそうな顔になる。それが私の心臓を掴むなんて、想像もしていないんだろう。
「本当にごめんよ」
いろんなことを含めての「ごめん」なんだろう。そのいろんなことっていうのは、私の目に見えないことなんだろうけど。私は彼の世界を知らないし、きっと知らない方がいいんだろうって。
――でも、知らなくても、少しでも、力になれるなら、それができるのが、私なら、うれしいなと、思った。
気がついたらチョコレートは全部なくなっていた。
「そろそろ、帰るよ。下で、寺沢さん、待ってるんだ」
玄関に向かう彼の背中が、少し伸びた気がした。
「うん」
「今度くるときには、お返し用意しとかなきゃだな」
「クスッ。いつになるのやら」
「そんなこと、言うな」
私の冗談に、振り向いた彼は、悲しそうな顔で私を抱き寄せた。
「いつでもいいよ。待ってるから」
彼の背中をポンポンと軽く叩く。
悲しげに笑った彼の別れのキスは、最後に食べたチョコのように甘かった。
「美輪、チョコ食べちゃおうよ」
遼ちゃんの言葉で、二人の時間がゆっくり動き始める。
「今日はどうしたの?」
「ん、パワー充電しにきた」
「……大丈夫?」
見上げると、空《くう》を見つめる遼ちゃん。少し、疲れてるのか、目の下に薄っすらクマがあるように見える。
「あんまり大丈夫じゃない、って言ったらどうする?」
「どうしてほしい?」
「……ふふ。そんなこと言ったら、いろんなこと考えちゃうじゃない」
さっきまでの優しい笑顔が、いたずらっ子にかわる。なんとなく、求められそうなことが頭をよぎって、首から上が急に熱くなる。
「ククク。美輪、何考えてんの……エッチだなぁ」
上から目線でにやけてるのを見ると、なんか悔しい。
「フフ。ちょっと、今の現場、すごい先輩たちが多くてね。緊張するんだ。いい緊張なんだけどね。」
部屋の中がコーヒーの香りで充満する。私は、遼ちゃんの腕の中から出ると、マグカップを取り出し、出来立てのコーヒーをいれる。
差し出したマグカップを受け取り、覗き込む遼ちゃんの顔は、すごく男っぽく見える。テーブルのチョコを一つつまみ、味わいながら食べる姿に、嬉しくなる。
「僕も、いつか、あんな存在感のある役者になりたいなって。すごく尊敬する先輩たちなんだよ」
「いい先輩たちなんだね」
「ああ。もっと勉強しなくちゃいけないって思うよ」
「遼ちゃんは、これからだよ」
「うん……ありがとう」
苦笑いしている遼ちゃん。
「もしかして、焦ってる?」
「あは。美輪には隠せないか」
「なんとなく、ね」
コーヒーを飲み干して、大きいため息。何かあったのかな。
「私が言うことじゃないかもだけど。今は、今の年齢でしかできないことがあるんだから、それを頑張るしかないんじゃない?」
遼ちゃんはマグカップを置くと、同じように私の手からマグカップを取り上げた。そして私の手をとり、ゆっくりと口元にもっていく。一連の流れが、きれいで目が離せなくなる。
「美輪、僕のこと、好き?」
「うん」
「クスっ。今日は素直だね」
手の甲に軽くキス。まるで王子様だな。
「遼ちゃんが素直だから」
そう真面目に答えたら、何か苦しそうな顔になる。それが私の心臓を掴むなんて、想像もしていないんだろう。
「本当にごめんよ」
いろんなことを含めての「ごめん」なんだろう。そのいろんなことっていうのは、私の目に見えないことなんだろうけど。私は彼の世界を知らないし、きっと知らない方がいいんだろうって。
――でも、知らなくても、少しでも、力になれるなら、それができるのが、私なら、うれしいなと、思った。
気がついたらチョコレートは全部なくなっていた。
「そろそろ、帰るよ。下で、寺沢さん、待ってるんだ」
玄関に向かう彼の背中が、少し伸びた気がした。
「うん」
「今度くるときには、お返し用意しとかなきゃだな」
「クスッ。いつになるのやら」
「そんなこと、言うな」
私の冗談に、振り向いた彼は、悲しそうな顔で私を抱き寄せた。
「いつでもいいよ。待ってるから」
彼の背中をポンポンと軽く叩く。
悲しげに笑った彼の別れのキスは、最後に食べたチョコのように甘かった。