おデブだった幼馴染に再会したら、イケメンになっちゃってた件
あのドタバタの昼休みの検索で、ちょっと気になったのを見つけたから、仕事帰りに寄ろうかな、と思った。
先輩たちは決算の準備で慌ただしくなってたけど。
私もお手伝いしなくちゃいけないんだけど。
今日なら、まだ早くあがれるか? と思って、定時であがってしまった。本城さん、笠原さん、ゴメンナサイ。
そして。結局、買ってしまった。誕生日までもう少しだけど、見たら買いたくなってしまった。普段、自分のためにすら、買わないアクセサリー。私の唯一のアクセサリーともいえるのは、遼ちゃんからのネックレスだけだし。
ちょっと迷ったけど、奮発してみた。
オニキスのブレスレット。ポイントにシルバーのスカル。彼の趣味かわからないけど、これくらい細身のブレスレットなら派手ではないと思う。たまに使ってもらえればいい。ニヤニヤしながら、足取りも軽くなる。
「あれ~? 神崎さんじゃないですかー?」
今度はいつ会えるかな、とワクワクしながら思いながら歩いてたのに、なんで、聞きたくない声が聞こえてくるんだろうか?
「神崎さ~ん」
いや、きっと、私の勘違いだ。そうに違いない。
「神崎さんてば~」
聞こえなかったフリして、改札を抜けてホームに向かう。
「もう、無視しないでくださいよ~」
声が真後ろに迫り、急に右肩をつかまれ、思い切り振り向かされる。
「う、うわっ!!!」
目の前に、スーツの胸の部分が迫ってた。
「おっと。ちょっと強かったですかね~」
見上げれば、案の定、関根くんに抱きとめられてた。
「な、なにすんのよっ」
慌てて離れようとするも、彼の腕から逃れられない。
「無視しなくてもいいじゃないですか」
上から見下ろす関根くんは、笑ってるようで目が笑ってない。
「は、離さないと大声出すわよ」
すでにちょっと大きい声を出してるけど、そばを通り過ぎていく人たちは、この状況に誰も助けてくれない。むしろ、痴話げんかでもしてるとでも思ってるのか。
「冷たいなぁ。先輩。あ、そうだ。先輩って、この路線なんですか?」
今日はたまたま、ショップを見るために普段使わない電車に乗ってきた。
「ち、違うけど」
「え~、残念~。俺、この電車使ってるんで~、一緒だったら嬉しかったのにな~」
全然、嬉しそうに見えないんですけど。
「いい加減にして」
あまりにも頭にきたせいで、普段は出しもしない怒りの低音が出てしまう。さすがに、私の怒りが伝わったのか、掴んでいた腕を離す。
「じゃあ、お疲れ」
「あ、せっかくだから、ご飯でも」
ほぼ同時に言ってきた言葉を無視して、ホームに入ってきた電車に乗り込んだ。混雑した電車の中から、ホームにいる関根くんの姿が見える。同じ場所から動きもせずに、じっとこちらを見てる。
なんなの、あの目つき。
昔の出来事を思い出させて、すごく嫌。あの頃は、兄ちゃんがいたけど。
頭に浮かんだのは、遼ちゃんの顔。いや、彼に迷惑になるようなことは、彼の邪魔になるようなことは、しちゃいけない。余計な心配させたくない。
笠原さんに相談すべきか? でも、あの二人、仲がいいし。というか、職場では、ウザいくらいでなんとかしのげていた。イライラはしたけど。
もうちょっと様子見てからでもいいか、とは思ったけれど、念のため、一馬には相談しておこうと、とりあえず、L〇NEで明日の都合を聞いてみた。
『久しぶり。明日の夜、時間ある?』
『あるよ』
『ちょっと相談したいことが』
『遼ちゃんのこと?』
『いや、別件』
『わかった。会社のそばのカフェで待ってればいい?』
『それだと助かる』
一馬は、大晦日のあれ以来、遼ちゃんとあまり接触していないらしい。まぁ、肝心の私の方が許してるのに、一馬はやっぱり納得できないらしい。清濁併せ呑む、っていうのは、まだまだ難しい青年ってことか。
それでも、たぶん、遼ちゃんのことは心配してはいると思う。
結局、仕事が終わりそうなころに連絡いれるという話になった。
先輩たちは決算の準備で慌ただしくなってたけど。
私もお手伝いしなくちゃいけないんだけど。
今日なら、まだ早くあがれるか? と思って、定時であがってしまった。本城さん、笠原さん、ゴメンナサイ。
そして。結局、買ってしまった。誕生日までもう少しだけど、見たら買いたくなってしまった。普段、自分のためにすら、買わないアクセサリー。私の唯一のアクセサリーともいえるのは、遼ちゃんからのネックレスだけだし。
ちょっと迷ったけど、奮発してみた。
オニキスのブレスレット。ポイントにシルバーのスカル。彼の趣味かわからないけど、これくらい細身のブレスレットなら派手ではないと思う。たまに使ってもらえればいい。ニヤニヤしながら、足取りも軽くなる。
「あれ~? 神崎さんじゃないですかー?」
今度はいつ会えるかな、とワクワクしながら思いながら歩いてたのに、なんで、聞きたくない声が聞こえてくるんだろうか?
「神崎さ~ん」
いや、きっと、私の勘違いだ。そうに違いない。
「神崎さんてば~」
聞こえなかったフリして、改札を抜けてホームに向かう。
「もう、無視しないでくださいよ~」
声が真後ろに迫り、急に右肩をつかまれ、思い切り振り向かされる。
「う、うわっ!!!」
目の前に、スーツの胸の部分が迫ってた。
「おっと。ちょっと強かったですかね~」
見上げれば、案の定、関根くんに抱きとめられてた。
「な、なにすんのよっ」
慌てて離れようとするも、彼の腕から逃れられない。
「無視しなくてもいいじゃないですか」
上から見下ろす関根くんは、笑ってるようで目が笑ってない。
「は、離さないと大声出すわよ」
すでにちょっと大きい声を出してるけど、そばを通り過ぎていく人たちは、この状況に誰も助けてくれない。むしろ、痴話げんかでもしてるとでも思ってるのか。
「冷たいなぁ。先輩。あ、そうだ。先輩って、この路線なんですか?」
今日はたまたま、ショップを見るために普段使わない電車に乗ってきた。
「ち、違うけど」
「え~、残念~。俺、この電車使ってるんで~、一緒だったら嬉しかったのにな~」
全然、嬉しそうに見えないんですけど。
「いい加減にして」
あまりにも頭にきたせいで、普段は出しもしない怒りの低音が出てしまう。さすがに、私の怒りが伝わったのか、掴んでいた腕を離す。
「じゃあ、お疲れ」
「あ、せっかくだから、ご飯でも」
ほぼ同時に言ってきた言葉を無視して、ホームに入ってきた電車に乗り込んだ。混雑した電車の中から、ホームにいる関根くんの姿が見える。同じ場所から動きもせずに、じっとこちらを見てる。
なんなの、あの目つき。
昔の出来事を思い出させて、すごく嫌。あの頃は、兄ちゃんがいたけど。
頭に浮かんだのは、遼ちゃんの顔。いや、彼に迷惑になるようなことは、彼の邪魔になるようなことは、しちゃいけない。余計な心配させたくない。
笠原さんに相談すべきか? でも、あの二人、仲がいいし。というか、職場では、ウザいくらいでなんとかしのげていた。イライラはしたけど。
もうちょっと様子見てからでもいいか、とは思ったけれど、念のため、一馬には相談しておこうと、とりあえず、L〇NEで明日の都合を聞いてみた。
『久しぶり。明日の夜、時間ある?』
『あるよ』
『ちょっと相談したいことが』
『遼ちゃんのこと?』
『いや、別件』
『わかった。会社のそばのカフェで待ってればいい?』
『それだと助かる』
一馬は、大晦日のあれ以来、遼ちゃんとあまり接触していないらしい。まぁ、肝心の私の方が許してるのに、一馬はやっぱり納得できないらしい。清濁併せ呑む、っていうのは、まだまだ難しい青年ってことか。
それでも、たぶん、遼ちゃんのことは心配してはいると思う。
結局、仕事が終わりそうなころに連絡いれるという話になった。