おデブだった幼馴染に再会したら、イケメンになっちゃってた件
年が明けて、仕事初めの日に、兵頭さんは帰国した。黒くて長い髪を、バッサリとショートカットにして。さっそうと空港を歩く彼女は、かっこよくて、フッと笑った口元が、以前よりも大人っぽい表情に見えたのは、気のせいだろうか。
彼女の帰国と同時に、『破局』報道。すっかり遼ちゃんは、兵頭さんに捨てられたという扱い。日本のマスコミがギャーギャー騒いでも、きっとアメリカにいる遼ちゃんには、どうでもいいかもしれない。
でも、私は、少しだけ、悔しい。『破局』という扱いは、ようやく私に安心をもたらしてくれたけど、『捨てられた』という扱いは、やっぱり悔しい。
矛盾してるかもしれないけど、それが今の遼ちゃんのポジションなのだろう。
仕方がないのかもしれない。
いつか、もっとすごい俳優になって、見返してやればいい。
そう思ってたら、『破局』報道から一か月もたたないうちに、兵頭さんと阿川さんの『結婚』報道にすり替わっていた。
後から寺沢さんから聞いた話によれば、兵頭さんが遼ちゃんを追って行ったのは、彼女なりの悪あがきだったみたいで、遼ちゃんは、はっきりと拒否したらしい。
彼女のショートカットは、次回作のため、ということになっているけど、失恋の自己アピールなんじゃないか、と、私は穿った見方をしてしまう。
そんな彼女を見て、阿川さんもようやく腹をくくった、ということなのかもしれない。彼女の気持ちが、後輩にもってかれそうになったのも、彼女が嫌がらせを受けてたのも、結局は彼のケジメをつける覚悟の問題だったのだろうから。
遼ちゃんが日本から離れてから、会社と家との往復が寂しくて、女子大時代の友人たちの飲み会に、顔を出すようになった。
友人たちの半分は結婚もして、専業主婦になっている子も多かったけど、残りの半分は、しっかり稼いでて、その稼いでる子たちと、暇があったら海外や国内の旅行に行くようになった。
当然、私が結婚してるなんて話は内緒。実際、いっしょに暮してるわけでもないし。そして、マメに遼ちゃんにみんなと一緒に撮った画像をL〇NEで送る。
――私は、寂しくないからね。心配しないで。
遼ちゃんからは、学校の仲間たちとの画像を送ってきては、頑張ってるアピール。
その中に、かわいい女の子とかいても、気にしないようにしてるけど、時々、わざとヤキモチやかせようとしてる? って思うのもある。
でも。そろそろ一年。
そういう無意識のイジワルにも、限界。
たまにかかってくる電話で、いつも甘い言葉をくれる遼ちゃん。私が心配しないように、と思ってくれてるのだろうけど、声を聞けば聞くほど、会いたくなる。
でも、今まで一度も帰国せずに向こうで頑張っている彼を思うと、帰ってきて、とも言えなかった。
だけど、今までは彼のことを優先させてきたけど、もうすぐ初めての結婚記念日。
結婚式はあげてないけど、私たちは夫婦だよね? と、不安になった。
だから。
――会いに行こう。
遼ちゃんに怒られるかもしれないけど、もう、心がいっぱいいっぱいで、会いたくて、会いたくて、胸が痛い。
だけど、初めて彼に会いに行くのが、海外とかって、私にはかなり敷居が高い。
なので、アメリカに住んでる友達と久しぶりに会う約束をした。
ロスに住んでいる子と、ヒューストンに住んでいる子と、ラスベガスで待ち合わせ。二人とも学生時代から連絡をとっていたけど、気が付けばアメリカに住んでいて、いつも『遊びにおいで』と言ってくれていた。だから、二人には申し訳ないけど、遼ちゃんに会いにく口実にさせてもらった。
ラスベガスまで直行便。初めて一人で海外に出た。今までは、友達と一緒だったから、すごく緊張する。
一応、遼ちゃんには、『友達と旅行に行ってくる』としか伝えてない。
――最終日にあたる結婚記念日に、ニューヨークに行く予定である。
彼女の帰国と同時に、『破局』報道。すっかり遼ちゃんは、兵頭さんに捨てられたという扱い。日本のマスコミがギャーギャー騒いでも、きっとアメリカにいる遼ちゃんには、どうでもいいかもしれない。
でも、私は、少しだけ、悔しい。『破局』という扱いは、ようやく私に安心をもたらしてくれたけど、『捨てられた』という扱いは、やっぱり悔しい。
矛盾してるかもしれないけど、それが今の遼ちゃんのポジションなのだろう。
仕方がないのかもしれない。
いつか、もっとすごい俳優になって、見返してやればいい。
そう思ってたら、『破局』報道から一か月もたたないうちに、兵頭さんと阿川さんの『結婚』報道にすり替わっていた。
後から寺沢さんから聞いた話によれば、兵頭さんが遼ちゃんを追って行ったのは、彼女なりの悪あがきだったみたいで、遼ちゃんは、はっきりと拒否したらしい。
彼女のショートカットは、次回作のため、ということになっているけど、失恋の自己アピールなんじゃないか、と、私は穿った見方をしてしまう。
そんな彼女を見て、阿川さんもようやく腹をくくった、ということなのかもしれない。彼女の気持ちが、後輩にもってかれそうになったのも、彼女が嫌がらせを受けてたのも、結局は彼のケジメをつける覚悟の問題だったのだろうから。
遼ちゃんが日本から離れてから、会社と家との往復が寂しくて、女子大時代の友人たちの飲み会に、顔を出すようになった。
友人たちの半分は結婚もして、専業主婦になっている子も多かったけど、残りの半分は、しっかり稼いでて、その稼いでる子たちと、暇があったら海外や国内の旅行に行くようになった。
当然、私が結婚してるなんて話は内緒。実際、いっしょに暮してるわけでもないし。そして、マメに遼ちゃんにみんなと一緒に撮った画像をL〇NEで送る。
――私は、寂しくないからね。心配しないで。
遼ちゃんからは、学校の仲間たちとの画像を送ってきては、頑張ってるアピール。
その中に、かわいい女の子とかいても、気にしないようにしてるけど、時々、わざとヤキモチやかせようとしてる? って思うのもある。
でも。そろそろ一年。
そういう無意識のイジワルにも、限界。
たまにかかってくる電話で、いつも甘い言葉をくれる遼ちゃん。私が心配しないように、と思ってくれてるのだろうけど、声を聞けば聞くほど、会いたくなる。
でも、今まで一度も帰国せずに向こうで頑張っている彼を思うと、帰ってきて、とも言えなかった。
だけど、今までは彼のことを優先させてきたけど、もうすぐ初めての結婚記念日。
結婚式はあげてないけど、私たちは夫婦だよね? と、不安になった。
だから。
――会いに行こう。
遼ちゃんに怒られるかもしれないけど、もう、心がいっぱいいっぱいで、会いたくて、会いたくて、胸が痛い。
だけど、初めて彼に会いに行くのが、海外とかって、私にはかなり敷居が高い。
なので、アメリカに住んでる友達と久しぶりに会う約束をした。
ロスに住んでいる子と、ヒューストンに住んでいる子と、ラスベガスで待ち合わせ。二人とも学生時代から連絡をとっていたけど、気が付けばアメリカに住んでいて、いつも『遊びにおいで』と言ってくれていた。だから、二人には申し訳ないけど、遼ちゃんに会いにく口実にさせてもらった。
ラスベガスまで直行便。初めて一人で海外に出た。今までは、友達と一緒だったから、すごく緊張する。
一応、遼ちゃんには、『友達と旅行に行ってくる』としか伝えてない。
――最終日にあたる結婚記念日に、ニューヨークに行く予定である。