おデブだった幼馴染に再会したら、イケメンになっちゃってた件
「美輪っ!」

 到着ロビーに出ると、懐かしい友人たちの顔。小走りに彼女たちの元へ急いだ。 
 ラスベガスで三人で過ごす時間は本当にあっという間で、一泊だけしてから、その後、ロスの友人の家に泊まりに行った。彼女の家には、パートナーの男性がいた。
 アメリカの旅行代理店で働く彼を追って、アメリカに来た彼女は、本当に幸せそうで、見ていた私も幸せな気分にしてもらった。

 ――私も、早く遼ちゃんに会いたい。

 つくづく、そう思った。
 この時期は、ロスの街中はクリスマスのイルミネーションがすごいことになっていて、日本でもやっている家はあるにはあるけど、その規模じゃない。車に乗せてもらって、名物になっている家などを見て回った。
 あんまり綺麗だから、友人に私の写真を撮ってもらった。そして、記念にと彼女と彼女のパートナーも一緒に。

――私の隣に遼ちゃんがいてくれたらいいのに。

 仲の良さそうな二人を見ると、すごく切なくなった。
 イルミネーションを見終わってから、彼女たちの家でのんびり過ごす。明日は、朝早くにニューヨークに向かう予定。

 まだ、遼ちゃんには伝えていない。

 友人に人とパートナーの彼の楽しそうな話を聞きながら、今日撮った画像をL〇NEで送るために、画像を選んだ。話をしながらだったけど、友人たちと一緒に撮ったのが一番キレイだったので、その画像を送った。
 日本にいるままのノリで送ってしまったけど、ニューヨークとの時差は三時間程度。もしかしたら、まだ起きてる?
 送ってすぐに、遼ちゃんから返事が来た。

『こいつ誰』

 ……へ?
 いきなりそれ?

 送った画像を見てみると、ロスの友人とパートナー、そして私の三人が映ってる。

『友人のパートナー』
『てか、今、どこ』

 ……どうしよう。
 遼ちゃんが、怒ってる気がする。

『友人の家』

 嘘はついてない。

『それ、どこ』

 あー、正直に言わないとダメなパターン。

『ロス』

 ……既読はついてるのに、返事が来ない。
 は、反応してほしい。

 遼ちゃんは、読むくせに反応しないってパターンが多くて、心臓に悪い。無言の時間に我慢ができなかったのは私の方。

『明日、ニューヨークで一泊。それから帰る』

 既読

『何時』
『こっちを朝の六時頃に出るから夕方の五時くらいには着くと思う。』
『迎えに行く』
『うん』

 一年ぶりの遼ちゃん。
 友人たちに、不思議そうな顔をされたけれど、私のニヤニヤは止まらない。彼女たちの話も楽しかったけれど、明日になれば遼ちゃんに会えると思うと、興奮して眠れなかった。

 ようやく、うつらうつらしてきたとき、もう出かける準備をしなければならなかった。

「今日はニューヨークだね。何か予定あるの?」

 ニコニコしながらパートナーの彼が聞いてきた。

「えーと、人と会う約束が」
「何、彼氏?」

 笑顔のまま、こっそり聞かれると、素直に頷いてしまう。

「そっか。楽しんできてね」

 親指をたてて、ウィンクをされると、恥ずかしくなる。
 エヘヘ、とだけ笑って、荷物を持って家を出た。
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