婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「ど、どうしてですか? 私は紋様を消したり、解呪の力なんてありませんけど」

「ルーサー、どういうことか説明しろ」

メイナードも追求に加わる。

「考えてみると、アレクシア様が嫁いできてからいろいろなところで変化が起きているんです」

「変化ですか?」

まるで見当がつかない。

「ええ。初めは婚儀の日です。間の森でそれまで見かけなかった強力な魔物が現れました」

その話は知っている。だからメイナードは初夜もなにもかも投げ出して、砦に向かったのだ。

「その後も、魔物の活動が活発になりました。そのときは理由は分かりませんでしたが、アレクシア様の治癒魔法で魔物が消滅したと聞いたときにある仮定が立ったんです」

「仮定? そんな話聞いてないが」

メイナードの眉間にしわがよる。機嫌を悪くしたのが伝わってきたが、ルーサーは飄々と受け流した。

「確証がないから言わなかったんですよ。今のようにメイナード様に直結するような変化はありませんでしたし」

「話すべきだった」

「アレクシア様が魔物を呼び寄せているなんて話したら、メイナード様は動揺したでしょう?」

聞き捨てならない台詞に、アレクシアは目を見開いた。

「わ、私が魔物を?」
「申し訳ありません、言い方が悪かったですね。アレクシア様に刺激された魔物が現れたということです」
ルーサーはメイナードに対するときよりも格段丁寧に説明をしてくれた。
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